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イチゴの確認をするYOKOIホールディングスの横井三二会長=4月12日午後、岐阜県可児市

サプライヤーの生きる道

自動車業界は、部品や材料を手がける「サプライヤー」抜きには成り立ちません。しかし、変革期の業界にあって、営みを次世代につなぐのは簡単ではありません。新たな道を探る経営者らの姿を4回連載で追いかけます。

 4月中旬に訪れると、ビニールハウスの中では真っ赤に色づいたイチゴの実が収穫を待つように垂れ下がっていた。

 岐阜県可児市の農園「サニーさんファーム」では、2020年からイチゴを作り始めた。広さ約2千平方メートルのハウス内には、2万4千株の苗が植えられている。イチゴ狩りと直売合わせて年間4トンを生産しているという。イチゴの他に、ナスやトマトやパクチーなど約25種類の野菜や果物を作っている。

 この農園を運営するのは、トヨタ自動車の2次請けのYOKOIホールディングス(同市)だ。「本業」の自動車部品製造では、スイッチやエアコンの吹き出し口、カップホルダーなど主に内装部品を手がけている。売上高の9割を自動車向けが占めている。

 イチゴのハウス内は室温や二酸化炭素濃度が自動調整され、ゴミがほとんど落ちていない。そんなところにも、製造業らしさが垣間見える。農園の床を覆う真っ白のシートにも意味がある。

 農園長の横井勇佑さん(39…

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