2年余りのうちに、M&A仲介を通じて多くの中小企業を買収しながら、給与の遅延などのトラブルを多発させているA社。本店を登記した東京・丸の内のレンタルオフィスからは姿を消したが、もう一つの拠点がある茨城県土浦市の雑居ビルの一室を訪れると、買収先の経営資料が雑然と放置されていた。そこで共同代表のY氏(30)が2回、計7時間にわたって朝日新聞の取材に応じ、ずさんな経営実態の内実を打ち明けた――。
Y氏は大学中退後、仕事やバイトを転々としたのち、水戸市で飲食店の店長を任されていた。一時は月収が100万円を超えたが、新型コロナの行動制限で収入は激減。別の仕事を模索していた2021年6月ごろ、確定申告を頼んでいた税理士からの電話でこんな誘いを受けた。
「資力のある方々が私財を投じて事業を始める。弱っている会社を買収し、再生して社会貢献する。一緒にやらないか」
■月額報酬100万円の条件
土浦駅ビル内のカフェで、税…