つむぐ 被爆者3564人アンケート 川上繁治さん(94)

 2歳上の姉は、被爆で変わり果ててしまった。

 福岡市城南区の川上繁治さん(94)は、旧制中学3年生だった1945年8月9日、爆心地から約10キロ離れた造船所にいた。

 「戦争なんて、愚かなことするもんじゃない」。80年前の夏の記憶を記者(23)に静かに話し始めた。

長崎での被爆体験を語る川上繁治さん=2025年8月7日午後4時29分、福岡市城南区、根元紀理子撮影

広島、長崎への原爆投下から80年となる今年、朝日新聞、中国新聞、長崎新聞が3社合同で被爆者アンケートを実施し、全国の3564人が回答を寄せました。福岡在住の川上さんを新人記者が取材しました。

 川上さんは香焼(こうやぎ)島(現・長崎市香焼町)にあった川南造船所に学徒動員されていた。化学分析室で、残飯の加工や、「ノミ取り粉」作りを任されていた。

 隊列や銃剣術など、学校での厳しい訓練と比べたら、働く方が好きだった。職員の薬剤師はいつも優しく、一緒に配属された学生ともうまくやっていた。

 あの日もいつもと同じように出勤した。

 午前11時2分。空襲警報が…

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