「事件で人生は大きく変わる。被害者はその人生を生き続けなければいけないのです」

 ストーカー被害に遭っていた女性(48)は27年前の1月、群馬県群馬町(現高崎市)の自宅で、両親と祖母を殺害された。

 「自分のせいで家族は亡くなった」。月日が流れても、自らを責め続ける思いは変わらない。

殺害された女性の両親=遺族提供

 毎朝、線香を供え、手を合わせることから一日は始まる。事件後は何年も不眠症に悩まされた。今でも事件に触れるようなことがあると、心臓がドキドキする。毎年、年末ごろから決まって体調が悪くなる。

 事件が起きた日は母の48歳の誕生日だった。午後9時ごろ、プレゼントの花束を抱えて帰宅したところ、背後から襲われた。殺人容疑で指名手配されている小暮洋史容疑者(55)だった。口をふさがれ、祖母の部屋に引きずり込まれた。上から覆いかぶされ、押さえ込まれて身動きができなかった。約1時間半後、落ち着きがなくなった小暮容疑者は「そこから動くな」と言い残し、立ち去った。

 「恐怖より、何とかしなければと必死だった」。家族は別の部屋で縛られ、声を上げられない状態になっていると思っていた。惨状を知ったのは警察署でだった。

 女性は高校卒業後、高崎市内のドラッグストアで働いていた。小暮容疑者は週2回、店に荷物を搬入してくる運送会社の社員だった。

 無口でまじめな印象だった。しつこく誘ってくるようになり、まとわりつかれた。自宅が割り出され、いきなりやって来ることがあった。電話は毎晩のようにあった。

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殺人事件の時効が廃止されてから今年で15年。未解決の殺人事件の真相解明の一助になることを目指し、事件を一覧できるページを作成しました。各事件のリストでは、情報提供ができる電話番号も掲載しています。

 上司らは女性に近づけないよ…

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