《1990年秋から始まった、岡倉夫婦と5人の娘たちの人生を描いたTBS系「渡る世間は鬼ばかり」は代表作だ》
本当は2年前に放送された主演作「おんなは一生懸命」の続編の予定だった。でも山岡(久乃)さんが「久々に橋田(寿賀子)先生とやりたい」って言って、急きょ新企画になった。
その頃には、私が出るのは決まってた。「でも、なんで次女のラーメン屋なのよ」ってママ(橋田さん)に聞いたら、「あんたは5人の娘、どの役でも出来る」って言ってくれたんだ。「他の子を見てごらん。ラーメン屋はできない」とも。「おしん」での起用の決め手にもなった、「農村漁村枠女優」だったからよね、私が。
俳優・泉ピン子さんが半生を振り返る連載「泉ピン子 背筋をピンと伸ばして」。全4回の最終回です(2024年3~4月に「語る 人生の贈りもの」として掲載した記事を加筆・再構成して配信しました)。
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高校中退で家出して、ラーメン屋に住み込みで入るっていうママの設定にも合ったのよ、きっと。「ブスがいいんだ」ってママにはよく言われたからさ。本当に失礼よね(笑い)。
《2011年のシリーズ終了後も特番が度々放送された》
あんなに続くだなんて思ってもみなかった。終わったと思ったらパート2、終わったらパート3。しかも、山岡さんが降りた。「体調も悪いし、セリフも長いからしんどい。もう無理」と慰留にも耳を貸さなかった。
すごくリアルなお芝居をする人だった。「ここは、さやいんげんの筋を取りながら話す場面だから」って、休憩中にもそうしながら、山岡さんはセリフを覚えてた。それだけ体力と精神力を使うから、負担も大きかったんだろうね。
でも続編があるのに、どう説…