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2022年8月以降、列車が通らなくなった三厩駅。線路には雑草が生い茂る=2024年11月28日午前8時59分、青森県外ケ浜町、安田琢典撮影

【4】津軽半島

 2022年8月、青森県の津軽半島に大雨が襲い、縦断するJR津軽線の一部区間が不通になった。以降、復旧することはなく廃線を迎えようとしている。

連載「半島を歩く」

能登半島地震を機に、災害時の脆弱さがあらわになった「半島」。半島地域の発展と住民の生活向上を図る半島振興法の制定から40年。全国各地の半島を記者が訪れ、現状を探り、課題を考えます。全8回の連載です。

 石川さゆりの名曲「津軽海峡・冬景色」で、「北のはずれ」で有名な半島最北端の竜飛岬(正式には竜飛崎)がある青森県外ケ浜町。そこに津軽線の終着駅「三厩(みんまや)」という駅があるが、列車が発着することはない。

 駅の構内には雑草が生い茂る一方で、駅舎はきれいに維持されている。ただし、用途はもっぱらバスの待合所。駅からほど近い隣町の今別町に入り口がある青函トンネルは、16年に開業した北海道新幹線や貨物列車が頻繁に往来する。

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貨物列車と北海道新幹線が通る青函トンネルの入り口=2024年11月28日午前8時52分、青森県今別町、安田琢典撮影

自動車交通の転換を求めるJR

 22年の大雨で、同線の蟹田(かにた)―三厩間(28・8キロ)の盛り土が流失し、復旧費用は6億円とされた。

 青森県鉄道対策課によると、蟹田の一つ先にある中小国(なかおぐに)から三厩までの22年の1日平均利用者数は80人。国鉄からJRに転換した1987年の415人の2割以下で、県内のJR路線では採算が最も厳しい路線だった。

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中小国駅を境に、三厩駅までの乗客はぐっと減った=2024年11月28日午前8時1分、青森県外ケ浜町、安田琢典撮影

 外ケ浜町と今別町、県は当初、全面的な復旧を望んでいた。

 一方、JR東側は自動車交通…

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