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揚げ春巻きを受け取る路上生活中の女性=2024年5月13日午後、東京都台東区、内田光撮影

 東京・上野の路上で暮らす人たちの間で、在日ベトナム人の作った「揚げ春巻き」の差し入れが定番メニューの一つになっている。小ぶりで食べやすいサイズのものが、透明のパックに3本入り。脂っこくないのも特徴だ。

 上野や、「日雇い労働者の街」として知られた山谷などの周辺で路上生活者を支援する「ひとさじの会」が配っている。月に2回ほど、会を主宰する吉水岳彦さん(45)やボランティアのスタッフが夜回りをしている。

 5月20日の夜、約20人のボランティアの中にベトナム人の若者4人の姿があった。弁当や揚げ春巻きなどを持って、路上生活者たちに声を掛けて回っていた。

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路上で生活する男性に食料や衣類を手渡すベトナム人の女性=2024年5月20日午後、東京都台東区、内田光撮影

 友人に誘われて初めて参加したというレ・ティ・タオさん(25)は翌朝8時から仕事だったが、「(夜回りで出会う人たちは)みんなやさしいから心がうれしくなる」と夜10時近くまで活動を続けた。2018年に技能実習生として来日し、今は特定技能のビザでホテルなどの清掃の仕事をしているという。

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食料や衣料などの支援物資を配って回るレ・ティ・タオさん(左から2人目)。普段は特定技能の資格でホテルなどの清掃スタッフとして働いている=2024年5月20日午後、東京都台東区、内田光撮影

 吉水さんによると、ひとさじの会の活動を在日ベトナム人が手伝うようになって10年近い。その中心にいるのは、技能実習生などより以前から日本にいる大先輩。「ボートピープル」として来日したベトナム難民の人たちだ。

 1975年4月にベトナム戦…

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