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羽田発着枠争奪戦 1枠20億円をかけて④

羽田発着枠争奪戦

5年ごとに迎える羽田空港国内線の発着枠をめぐる争奪戦。ドル箱の羽田路線は、航空各社の収益を左右するため、経営トップが火花を散らして議論します。方向性が固まる6月26日までの全4回でその様子を伝えます。

 羽田空港の発着枠の配分を決める委員会を取り仕切る国土交通省航空局の航空事業課は、旧運輸省系のエースが集う部署だ。現在は22人。平時から航空各社とのやり取りをしている。

 重田裕彦・航空事業課長は発着枠の議論について「全社の意見は採用できないため、中立の立場で論理的に対外的な説明ができるかどうかを重要視した」と話す。

 羽田空港での発着枠を決める舞台は「かなり気を使う」(航空事業課経験者)という。この期間、特定の社に肩入れしていると見られないようネクタイの色まで気にする官僚もいるという。

写真・図版
航空事業課は旧運輸省時代から省内のエースが集まる部署だ=2024年6月21日、東京・霞が関の国土交通省、角詠之撮影

 航空局には日頃から航空各社が出入りしており、付き合いも深い。「どの社にもそれなりに納得してもらわないといけない。一方の不満が残りすぎて永田町に駆け込まれたら役人人生も終わり」(国交省関係者)というシビアな世界だ。かつて、どのようなルールで点数化すると「公平」になるか、数十パターンの試算を出したこともあるという。

 加えて、航空事業課が大切にするのは公共交通としての使命だ。航空会社としては福岡や新千歳といった「幹線」の便を飛ばすほど利益は出やすいが、地方路線を維持させるためのルールも存在する。

 今回の大きな論点は三つだった。「コロナ禍の経営成績を加味して回収・再配分するか」「羽田発着のコードシェアの扱い」「経営統合した2社の扱い」だ。航空局は5月17日の第3回検討委で原案を提出した。

 航空業界は足元の業績ではイ…

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