音、におい、さわり心地……。不登校の中には、小さな刺激や変化に敏感に反応してしまうHSC(Highly Sensitive Child)と呼ばれる子どもたちもいる。障がいや病気とは何が違うのか。周囲はどう接すればいいのか。「ひといちばい敏感な子」としてHSCへの理解を呼びかけている精神科医の明橋大二さんに聞いた。
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HSCは病気や障がいではない
――「ひといちばい敏感」とはどういうことでしょうか。
聴覚や嗅覚(きゅうかく)などが非常に優れている、ということではありません。違いがあるのは脳です。耳や鼻が感じたものを脳が識別するのですが、この仕分ける能力が非常に細かい。なので普通の人が気にしないようなことも気になってしまうのです。
音やにおいだけでなく、隠し味にすぐ気づいたり、衣服がチクチクしていると訴えたり。人の気持ちにも敏感で、他人が落ち込んでいると自分事のように共感してしまうことも。こうしたHSCの傾向がある人は、5人に1人ぐらいの割合でいると考えられています。
――障がいや病気とは違うのでしょうか。
HSCは生まれ持った特性です。病気や障がいではなく、治療すべき対象でもありません。
発達障がいともよく間違えられますね。確かに自閉スペクトラム症の人には感覚過敏がよく見られるのですが、こうした人たちは「空気を読む」のが苦手でコミュニケーションに課題を抱えていることが多い。対してHSCは共感力が高く、ある意味「空気を読みすぎてしまう」のが課題。ここが大きな違いです。
――HSCは不登校になりやすいのでしょうか。
全員がなるわけではないですが、今の学校はHSCにとってつらいことが多い環境です。私のもとへ受診に来る不登校の子の8割はHSCの傾向があります。いじめ被害などはっきりした理由のない不登校の子の中では、HSCの割合は高いと思います。
「敏感さにはいいこともいっぱい」
典型的なのは、先生が怖いと…