長女がカフェのアルバイトでつくったラテアート。日に日に上達してきているという=女性提供

 東京都の会社員女性(48)が、長女(17)を大手進学塾に入れたのは、彼女が小学3年の頃だった。

 女性が勤める大企業の同僚は、ほとんどが国立大学や有名私大など、いわゆる「いい大学」を出ていた。自身も国立大の大学院卒。娘にもそうした大学に行って、将来の選択肢を広げてほしい。そのためには、中学受験をして私立中高一貫校に行くことで有利にしておきたい。そんな計算があった。

 塾からは大量の宿題が出た。長女が幼い頃に離婚し、一人で育ててきた女性は、宿題のわからないところを一緒にやるなどし、個別指導塾にも通わせた。手間も費用もかかったが、長女の将来への投資と思えば、苦にはならなかった。

 志望校は長女の学力と偏差値の兼ね合いだけで決めた。学校の雰囲気や本人の性格との相性などは深く考えなかった。長女は志望校の一つである私立中高一貫校に合格した。

 だが入学して間もなく、校風が長女の性格に合わないことがわかった。長女はそのずれに長く耐えたが、あるきっかけで立ち直れなくなってしまう。

やがて親子関係は悪化し、長女が自死をほのめかすまでになってしまいます。苦しんだ母は、ある結論にたどり着きます。

 自由奔放な性格の長女は、ル…

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