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水道タンクのある公園周辺がお気に入りの散歩コースだと話す小池裕子さん=2024年12月2日午前9時12分、新潟県長岡市水道町3丁目

 短い秋が終わり、灰色の空に覆われる日が続いていた12月の新潟県長岡市。取材に訪れた日は、水道公園の上空に久しぶりの青空が広がった。戦火をくぐり抜けた街のシンボル、真っ赤な屋根の水道タンク下の地面には、赤や黄色の落ち葉がまだ少し残っていた。

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 「この公園や、すぐ上の土手を歩きながら、その日の仕事の段取りを考えるのが、朝のお気に入りの時間なんです」。2022年11月に東京都品川区から移住してきた、システムエンジニアの小池裕子さん(44)は言った。

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 新潟市出身で大学卒業後、いったん地元のシステム開発会社に就職した。「人生の後半は環境を変えて都会で暮らしたい」。地元で長く暮らす中、そう考えて、好きなメタルバンドのライブを見るために出かけることの多かった東京に19年に引っ越した。皇居にもほど近い丸の内の会社を経て、現在も勤める六本木のIT企業にその後、転職した。

「刺激的な時間」に変わった通勤

 住んだのは、京急・新馬場駅近くのワンルームの物件。どちらの会社にも30分ほどで家賃は1カ月7万円弱と格安だった。レトロな雰囲気の商店街があるなど下町っぽさが残る一方、ウォーターフロントのおしゃれな街、天王洲アイルまでは歩いて10分ほどの好立地だ。

 通勤は刺激的な時間に変わっ…

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