大学における学生相談に詳しい甲南大学の高石恭子教授

 心の不調を訴える学生の相談件数が、各地の大学で高止まりしているという。学生相談に関わってきた専門家に、今の学生が抱える問題の特性や背景について聞いた。

 長く学生相談を担当し、2年前まで日本学生相談学会理事長を務めていた甲南大の高石恭子教授(臨床心理学)は「大学生活に『不適応』を起こす学生の割合は増えている」と実感をもとに指摘する。

 甲南大では、心の不調に関する学生の相談は、10年前の延べ約3千件が今は4千件超に上るという。

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 高石教授は一因に、学生の多様化を挙げる。例えば大学でも、発達障害に関する相談が目立つようになったという。発達障害に関しては、小中学校や高校で支援が必要な子どもが増えているとされる。大学では、だるさを訴えるような自律神経失調や、朝起きられない起立性調節障害、パニック発作などと診断される学生も増えているという。

 デジタルネイティブ世代ならではの事情もあると見ている。分からないことはネットで検索し、友人とのやりとりもSNSで短い単語やスタンプで済む。「欲求が瞬時に満たされるのが当たり前」になっていて「不安に耐えることや葛藤、だめだったらどうするかを考えることが、あまりないのでしょう」と分析する。

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 そういう若者の特徴を「困る…

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