地方都市に住む40代の全盲の女性は、マッサージ師として働きながら、一人暮らしをしている。
病気のために眼球を摘出したのは、生後すぐのことだった。小学生のとき、両親が離婚。父に引き取られたが、まもなく障害のある子どもたちの施設に預けられた。「(自分は)家のことができないから、面倒をみられない」と父から言われた。母は新しい恋人に、障害のある子どもがいることを隠していた。
「私は邪魔なんだな」。幼心に、そう感じた。
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夢をかなえた先で待っていた性加害
高校時代、大きな手術を受けた。術後、看護師から「痛かったら手をぎゅっと握って教えてくださいね」と声をかけられた。
こんなにも、私の気持ちを分かろうとしてくれる人がいる――。同じように、患者の声に耳を傾ける仕事として、マッサージ師になりたいと思うようになった。
盲学校の高等部を卒業後、専…