Smiley face
写真・図版
帝京高校のグラウンドで選手にアドバイスをする前田三夫(右)=2022年
  • 写真・図版

 無名だった帝京高校を監督として何度も甲子園に連れて行き、全国区にした前田三夫は、2021年夏を最後に引退した。前田が得意とし、そして最後には翻弄(ほんろう)された高校野球の変化はその後も続いている。だが、前田が選手に懸命に伝えようとしたメッセージは今も、グラウンドに残る。

 前田が帝京の縦じまのユニホームを脱ぎ、3年がたとうとしている。前田には今、名誉監督という肩書がある。ただ、めったにグラウンドには顔を出さない。たまに顔を出しても、もう、ユニホームを着ることはない。

 「もう任せているから、グラウンドにはいても30分。ユニホームを着て、ああだこうだいうのはだめだから。グラウンドの空気、帝京の空気を吸うだけ」

 ただ、存在感は今でも圧倒的…

共有