ミャンマー最大都市ヤンゴンの街並み。中央にあるのは「スーレーパゴダ」と呼ばれる仏教寺院=2024年12月26日、ヤンゴン、笠原真撮影

 国の全権を握った国軍のクーデターから4年が経ったミャンマーでは、国軍と、抵抗する民主派や少数民族の武装勢力による内戦が続いています。ミャンマーは今後どうなるのか。タイ・タマサート大のドゥリヤパク・プリチャラシュ准教授(ミャンマー・東南アジア政治)に聞きました。

  • 【連載初回はこちら】自軍に誤爆、撤退の兵士を射殺…敗退のミャンマー国軍 関係者の証言
  • 【そもそも解説】国軍のクーデターから4年、ミャンマーでいま何が?

 ――内戦の長期化で国内は混沌(こんとん)としています。

 ミャンマーは政治的な危機にあります。内戦の当事者を分析すると、国軍の内部には抵抗勢力に勝つまで戦うべきだと主張する「強硬派」と、交渉を通じて解決すべきだという「穏健派」がいると考えられます。抵抗勢力にも、戦って国軍の打倒をめざす「急進派」と、国軍主導の総選挙に参加してでも解決をめざすべきだとする「中道派」がいます。

 対話を通じた和平の実現には、穏健派と中道派が各勢力をリードしなければなりません。しかし残念ながら現状は強硬派対急進派による、終わりの見えない紛争です。

総選挙もできず、さらなる無秩序にも

 ――国軍は今年中に総選挙を行い、次期政権に権力を移譲するとしています。

 国軍主導の総選挙は内戦を一部和らげる効果はあるかもしれませんが、終結には至らないでしょう。総選挙よりも、様々な勢力が参画した全国的かつ体系的な和平プロセスを進める努力が必要です。時間がかかりますし、複雑な政治情勢や内戦の被害からも、現状で実現は難しいです。

 総選挙が行われても、その間…

共有
Exit mobile version