改正障害者差別解消法が今年4月に施行され、障がい者への合理的配慮が私立の学校や大学にも義務づけられた。国連からも多様な子どもたちがともに学ぶインクルーシブ教育促進の勧告を受けた日本だが、なお配慮への壁が高い。米国ニューヨーク州認定の学校心理士として、幼児から高校生までを支援し、早稲田大学大学院などでも教えるバーンズ亀山静子さんに、日米の違いを聞いた。
- 裏切られた「GIGA」への期待 公立中でも入試も配慮に壁
――米国では合理的配慮は広がっていますか?
米国では、新小学1年生の12%程度が何らかの配慮や支援を受けています。小中高をあわせると10%~14%という調査もあります。しかし、大学などに障がい学生が約2割いる米国や英国では、驚くべき数字ではありません。日本も、文部科学省の調査で、公立小中学校の通常学級に支援が必要な子が8.8%いるとされていますが、実際にはもっと多いでしょう。
日本で合理的配慮やインクルーシブ教育が進まない理由の一つは、「配慮」という言葉です。「配慮だからしなくてもいい」「配慮してあげている」という意識がまだ強い。子どもの人権保障として「しなければならない」という意識を、配慮する側、される側だけでなく、社会全体に広げなければ変わりません。
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