唐戸桟橋(山口県下関市)から関門汽船に乗り、大観覧車を右手に眺めながら関門海峡を西へ向かうこと、約10分。剣豪の宮本武蔵と佐々木小次郎が戦ったとされる巌流島が見えてきた。
「決闘の聖地」として名高い島を望み、渡船のアナウンスは講談調に転じる。
時は慶長17(1612)年4月の13日、島で待ち構える小次郎を前に小舟で乗り入れた武蔵。船頭から譲り受けた櫂(かい)を削った木刀を引っさげ、砂浜に降り立ちます――。
島を訪れた4月12日は、年に1度の小次郎の慰霊祭(彦島自治連合会主催)が執り行われていた。
神事の後、小次郎の流派を受…