美容・医療ジャーナリストの海野由利子さん

 需要が高まる一方、トラブルが相次ぐ美容医療。業界を四半世紀見つめてきた美容・医療ジャーナリストの海野由利子さん(65)に問題点や美容医療を受ける際の注意点を聞いた。

 ――取材のきっかけは?

 業界を取材し始めたのは1999年ごろでした。女性誌でファッションや美容担当の編集者をしていた頃、取材先の皮膚科医に化粧品ではどうにもならないシミやほくろなどは、病気ではないし治療法がないと言われ、がっかりしていました。

 90年代にアメリカでレーザーのシミ取りが始まり、日本でも行われるようになりました。記事化したいと、複数の雑誌に企画を提案しましたが、「そんな怪しいものは取り上げられない」「イメージが悪い」と断られ続けました。

 そのうちの1誌で、「モノクロ」「体験記」という二つの条件で企画が通りました。カラーでないのは、「腫れや出血の写真が不快な可能性がある」から。加えて、自分の体験なら第三者へのリスクがなく、リアルなリポートができるという判断からでした。

 レーザーのシミ取り、ケミカルピーリング、レーザー脱毛、ほくろ取りの4種類を体験。当時は「美容医療」という言葉はなく、「美容術」というタイトルで記事と写真を7ページ掲載したところ、「そんな治療があるのか」「私もやってみたい」と読者からの反響は大きかったです。

 自然にできたほくろやシミに悩んでいる人が多い。潜在的なニーズがあると実感しました。そこからこの業界が認知されるまで、割と時間がかかったのですが……。

影響大きいSNS 注意すべきは

 ――広まった理由は?

 2010年代に全国にチェーン展開するクリニックが増えてきました。低価格でまぶたを二重にする手術ができるなどと、テレビCMや電車内の広告で宣伝。「気軽にできる」「簡単にできる」とのイメージが広がり、幅広い年代の人に美容医療が知られるようになりました。

記事後半で、美容医療を受ける際のチェックポイントをまとめています。

 最近はSNSの影響も大きい…

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