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国立がん研究センターがん対策情報センター本部副本部長の若尾文彦さん=東京都中央区

 高度化するがん医療。新しい薬や治療法が次々にでてくる中、どのように情報を集めて治療法を選択していけばよいのか。わかりやすいがん情報の発信に尽力してきた国立がん研究センターの若尾文彦さんに聞きました。

 ――がんかもしれないとわかったらまず、どうすればいいですか。

 診療の流れを確認しましょう。がんの疑いがあれば受診をし、検査を経て診断がつけられます。自分のがんの状態、がんの広がり(ステージ)などを知り、主治医が説明する治療方針を聞きましょう。学会の診療ガイドラインに沿った標準治療を始めるのが通常です。

 ――標準治療で良いのか? と思う人もいます。

 標準治療は、並の治療ではありません。最善・最良の治療と考えてください。

 「最新治療」を最善・最良と思う人もいるようですが、そうではありません。実験的・研究的治療といえます。

 効果が確認された治療法が標準治療となり、公的医療保険の適用になり、診療ガイドラインにのるという流れなのです。

 ――同じステージでも、合う薬がみつかるかどうかで経過がかなり違うようです。

 以前は肺や大腸といった臓器別に主な治療法は決まっていたのですが、最近は遺伝子(ゲノム)検査をして変異があるかを調べることができます。変異があればそれに対応する分子標的薬を使えるのです。

 分子標的薬は、がんを選択的に攻撃するため、昔ながらの抗がん剤よりも一般的に効果が高く、副作用は少ないとされます。

 免疫チェックポイント阻害剤が使えるがんの種類も増え、がん医療に大きなインパクトを与えています。分子標的薬と組み合わせるなど様々なプロトコルが組まれています。

 ――複雑化していて、何が正解かわからなくなります。

ガイドライン推奨の治療がかなくなれば

 診療ガイドラインにのってい…

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