能登半島の先端の崖に立つ、白亜の禄剛埼(ろっこうさき)灯台。1883(明治16)年につくられ、航海の安全のため夜の海を照らしてきた。
この日、点灯されたのは白昼だった。
レンズのすぐそばに、墨で力強い文字をしたためた幕が掲げられた。
「能登復興ののろしをあげっぞ! 珠洲市狼煙(のろし)町一同」
7月27日、石川県珠洲市狼煙町で「のろし」を上げる。しかも、全国の会ったこともない人たちと連携して、リレーのように――。そんなイベントが催された。
イベントは広島発祥の「見ぬ友と心結ぶのろしリレー」。全国各地で時間をずらしてのろしを上げ、同じ空を見上げてゆるく連携する。2014年に始まり、能登半島地震で名前が知られた狼煙町にも主催者から声がかかった。
【連載初回はこちら】避難所で始めた「復興会議」
能登半島の先端にある「狼煙」集落。地震で傷つき、まちの再生に向けて模索を続けた住民たちの1年を追います。
「まるで俺たちへの応援だ」。そう受け止めた狼煙の住民たちは、参加を快諾した。
元日の発災以降、さまざまな形のボランティアで狼煙に通ってくれていた団体にも、「一緒に盛り上がろう」と声をかけた。
NPO法人災害救援レスキューアシストと国際ボランティア学生協会(IVUSA)のメンバーはたこ焼きを、グリーンコープ共同体の人たちは焼き鳥をつくった。長野県小川村の有志は、おやきを振る舞った。
住民たちが、ドラム缶3個で…