コウノトリに魅せられ、高校卒業後、地元・兵庫県豊岡市の職員になり野生復帰に奔走してきた伊崎実那さん(39)は、国際会議への出席をきっかけに「私はどれだけコウノトリのことを知っているのだろう。どれだけちゃんと見てきたのか」と自問するようになった。30歳を過ぎた頃だ。
- コウノトリに魅せられ、高卒で市職員に 夢中の日々経て膨らんだ疑問
これからもコウノトリと長くかかわっていきたいからこそ、「このままではいけない」という思いがふくらんでいった。
そんなとき、「伊崎さんの家の近くに定着しているカップルのデータをとってみないか」と声をかけてくれた人がいた。保護増殖から野生復帰、啓発を担う研究機関「県立コウノトリの郷公園」(豊岡市)の当時の統括研究部長で、兵庫県立大教授だった江崎保男さんだ。公園の敷地には同大大学院の「豊岡ジオ・コウノトリキャンパス」がある。
「高卒だから…」 背中押され大学院へ
勧められた伊崎さんは、近くの田んぼに来る2羽の観察を始めた。どこを歩き、どれくらいの範囲で生活し、どんなエサを食べているのか。追いかけて記録し続けた。
同市には、市職員が同大学院…