近隣の医療機関の病院長や看護部長らが集まった会議で、発言する江南厚生病院の河野彰夫院長=2024年6月12日、愛知県江南市、山田史比古撮影

 入院や入所の際につきまとう「身元保証」の問題。身寄りがない高齢者が増えるなか、「入院を断らない地域」をつくろうと、取り組んでいる病院がある。

 愛知県江南市にあるJA愛知厚生連・江南厚生病院(一般病床630床)は、救命救急センターも持つ地域の中核病院だ。

 6月12日。病院の講堂に、木曽川を挟んで隣接する岐阜県内も含め、近隣11医療機関の病院長や看護部長、地域連携を担当する専門職らが集まり、「病病連携会議」が開かれた。

 「ご家族が見つからないなか、医療行為への同意など、どう対応したらいいのか。考え方の統一をはかろうということで、ガイドラインを作成し、共有しているところです」

 この日のテーマの一つは、身寄りがない高齢者の受け入れや支援についてだ。

 「今後も、地域で一つの医療機関という意識を持ち、支援のルールを深めていきたい」

 同病院の患者支援室長で、医療ソーシャルワーカーの野田智子さんが呼びかけた。患者支援室では、頼れる身寄りがいない状態の高齢者などが医療を受けるうえで生じる課題について対応している。

近隣の医療機関の病院長らが集まった会議で、身寄りがない人の入院や支援に関する取り組みを説明する野田智子さん=2024年6月12日、愛知県江南市の江南厚生病院、山田史比古撮影

 全国的に急増する、頼れる身寄りがいない高齢者。各地の病院や高齢者施設で、その受け入れや実際の対応が課題となっている。入院・入所中の身の回りの世話や手続き、亡くなった場合のお金の清算や遺体の引き取りなどを担ってくれる家族や親族がいないためだ。受け入れ側にとっては、スタッフが身の回りの世話や死後の対応などを担う場合もあり、支払いが未収で終わるリスクもある。

■身寄りがなくても入院・入所…

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