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小さなボートで国外に脱出する家族=1985年4月、ホーチミン

 ベトナム戦争終結から50年の今春、ベトナム系米国人男性が、南部ホーチミンを訪れた。

 ジム・ドゥダスさん(53)。3歳のとき、戦争末期に米空軍が実施した「オペレーション・ベビーリフト」で、米国に渡った孤児の一人だ。

 「もしあのとき、1日早く飛行機に乗せられていたら……と。この場所に立つたび、考えます」

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 4月4日、戦争末期に米軍輸送機が墜落したホーチミン12区で開かれた追悼式。ドゥダスさんは慰霊碑に花を手向けた。

 ベビーリフトは、戦争が終結する1975年4月30日の「サイゴン陥落」直前の4月4~26日、米軍がベトナム共和国(南ベトナム)の孤児を国外に避難させた作戦だ。

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3歳のとき、米軍が実施した「オペレーション・ベビーリフト」で米国に渡った孤児の一人、ジム・ドゥダスさん=本人提供

 初日、第1便として乗員乗客314人を乗せて出発したC―5A輸送機が墜落し、乳幼児ら138人が犠牲になった。

記事後半では、日本にも多く定住した「ボートピープル」の今を追います。米国に渡り、歌手となった女性は今も「ピアノに向かうと、悲しいメロディーが浮かぶ」と話します。

 ドゥダスさんが乗ったのは…

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