オンラインでインタビューに答える大矢英代さん

 カリフォルニア州立大でジャーナリズムを教える大矢英代(はなよ)さんは、Netflix番組「ターニング・ポイント:核兵器と冷戦」の共同プロデューサーを務めました。番組に何を盛り込むべきか、映画「オッペンハイマー」を見て確信したことがあったそうです。

(この記事には、映画の内容に触れる部分があります)

 映画「オッペンハイマー」は何を描き、何を描かなかったのか。オッペンハイマーにゆかりのある米国人や在米日本人に聞いたインタビューシリーズの4回目です。

    ◇

 ――映画「オッペンハイマー」の印象は。

 原爆の描き方という点では、非常にアメリカ的だと思いました。科学の進歩だったり、第2次世界大戦の終結だったり、成功体験として描かれている。米国人が見る原爆というのは、やっぱりキノコ雲の上から見下ろしている。これまでと違っていたのは、科学者の苦悩というところに視点が当たっていたところですね。ただそれも、原爆開発で人命を犠牲にしたことよりも、終戦に寄与した科学者であるにもかかわらず、ヒーローが「裁判」(聴聞会)にかけられていく、そういう苦悩が一番のハイライトなんですよね。

 ――大矢さんが共同プロデューサーを務めた番組「ターニング・ポイント:核兵器と冷戦」には、映画「オッペンハイマー」に描かれていないものがたくさん盛り込まれていました。

 最初に提案したのは、原爆の…

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