《バイト先の人が好きになってしまいました》
そんな一文がつづられた日記がある。
あれから5年。
福岡市に住む会社員の女性(25)は6月、大阪市を訪れた。かつて恋心をつづった、自分の日記に会うために。
茶色や緑色の手帳は5冊。
手に取ると、懐かしくて、恥ずかしくて。
日記は2020年から始まる。
20歳の誕生日を迎える数時間前に、「20歳の手記」と題して、どんな年にしたいのか、決意を記した。
少し困ったように笑う彼
その一つが淡い恋心の成就だ。
大学2年生の春。
飲食店でホールのアルバイトを始めた。厨房(ちゅうぼう)担当のアルバイトに、彼はいた。
1学年上の大学生で、日焼けした肌に少し長い髪。スポーツの経験があるからか、がっしりしていた。それでいて物腰は柔らかい。腕まくりして丁寧に洗い物をしていた。
少し困ったように笑う、陰のある雰囲気に一目ぼれした。
2人で話した時に「彼女はいない」と聞き、思いは加速していった。
振り向いてもらうには、どうすればいい?
日記に《ふりむいてもらおう!大作戦》と書いた。
それから、箇条書きの「作戦」も。
《①まずは自分に自信をつける》
《②目で『好き』って言う》
《③好きバレしてもいい!って思う》
告白しない私はもういない!
容姿にコンプレックスがあっ…