大阪・関西万博に出展する理美容機器メーカー「タカラベルモント」(大阪市中央区)の広報室に6月、1通のメールが届いた。
《(万博を通じ、母は)自分の原点を問い直し、人生に積極的になることができました》
送り主は松本佑子さん(47)=大阪市北区。その前日、松本さんは両親を連れて万博を訪れた。タカラベルモントが出展する大阪ヘルスケアパビリオン内の展示も見学した。
宇宙空間に進出した未来の人類と「美」の概念の変化を問う「タカラ」のブース。
「その衣装は動きやすいかしら」と光沢のあるシルバーのユニホームに身を包んだアテンダントに声をかける母に、松本さんは「今は関係者じゃないんだから」と笑った。
誇らしかったユニホーム
55年前、1970年の大阪万博で松本さんの母・友藤成子さん(76)は、同社のパビリオンのアテンダントを務めた。
中学校で英語の非常勤講師として働いた後、次の職場を探そうとしていた時に同社に勤める父親から「コンパニオンを募集しているから受けてみないか」と言われたのがきっかけだった。
当時のタカラベルモントは「美しく生きる喜び」をテーマに掲げ、会場の東側に鋼管とステンレスカプセルを結合した独創的な「タカラ・ビューティリオン」を建てていた。
アテンダントのユニホームは…