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デビッド・シアー元米国防次官補=ワシントン、ランハム裕子撮影
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 中国軍が近年、新型の艦船を次々と就航させています。一方で造船業が衰退した米国は、思うように建造が進んでいません。元米国防次官補(アジア太平洋担当)で、駐ベトナム米大使を務めたデビッド・シアー氏に、軍拡を進める中国の意図や、緊張が高まる中での対話の意味について聞きました。

 ――中国は次々と大型船を建造していますが、米国は十分に船が造れていません。

 トランプ米大統領も一般教書演説で述べたように、これは大きな問題です。艦船を必要に応じたペースで造れないし、(建造のための)設備も十分ではありません。特に潜水艦は必要数を維持するには年2.3隻を建造する必要がありますが、年1.5隻しか造れません。我々には設備と熟練で技術力のある労働力が必要です。

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 フェラン米海軍長官が4月末に訪日し、中谷元防衛相と米軍艦船の共同維持・整備を含む防衛産業協力について話し合いました。バイデン前政権のときは、デル・トロ海軍長官が何度も訪日し、造船協力について建設的に話し合ってきました。韓国の造船大手ハンファオーシャンは昨年フィラデルフィアの造船所に投資することを決め、現代グループも今年4月に米艦船建造会社と協力することを決めました。日本や韓国、オーストラリア、英国とこの問題に取り組む必要があります。

 ――中国が軍事的な力をつけるにつれ、その行動も変わってきました。

 中国は修正主義的な傾向を強め、沖縄県の尖閣諸島や南シナ海などにおいて、拡張主義的でいきすぎた領有権の主張をするようになりました。軍事的に力を持つことで中国の指導者や軍の選択肢が広がり、特にここ数年は、台湾を威嚇するための作戦や取り組みを飛躍的に増やしています。

 中国は、米国と同盟国の間にくさびを打ち込む能力を高めています。中国の海警局は、日本の海上保安庁の約2倍の艦船を保有し、尖閣諸島や台湾周辺での活動を活発化させています。

「中国はマハニアン」

 ――中国の意図は。

 習近平(シーチンピン)国家…

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