犯罪者の「懲らしめ」から「立ち直り」への大転換に向け、刑罰から懲役と禁錮をなくし、新たに拘禁刑が2025年6月から導入される。犯罪者の「立ち直り」とはどうあるべきなのか、手探りが続く。刑務所での勤務経験もある元法務官僚で、龍谷大教授(犯罪学)の浜井浩一さんに、受刑者や再犯防止をめぐる近年の状況について聞いた。
――再犯防止の状況について、どうとらえていますか。
出所受刑者が2年以内に再入所する割合は、05年の21・7%から減少傾向で、20年には15・1%まで減少しました。12年に閣議決定された「21年までに16%以下」という目標は達成しています。
――「拘禁刑」の導入に、どんなことが期待できますか。
長年課題だったのは、懲役刑の存在によってすべての受刑者を強制的に働かさなければならず、80歳を超えた高齢者にも労役を課さなくてはならなかったことです。それをしなくてよくなることは評価できます。
法務省在職時に実施され、97年に公表された受刑者の刑務所に関する意識調査があります。出所時の受刑者に質問紙と封筒を入れて封をして、職員が見ることができないことを前提に、封筒を直接、送付してもらう形で行われた調査です。「刑務作業がある方がいいか」と尋ねると、77.5%が「ある方がよい」と答えました。その理由として最も多かったのが「時間が早く過ぎる」(45.9%)で、「勤労の習慣・意欲を身につける」は9.8%、「喜び・充実感がある」は5.8%でした。
この結果からも、刑務作業自体が更生につながるとは考えにくいです。相互のコミュニケーションを極端に制限するなど自律性を認めない刑務作業のあり方を変えること、つまり社会での職場と同じような環境で作業ができるようにすることが重要だと思います。
――近年、刑務所の変化は感じられていますか。
名古屋刑務所の刑務官が01…