ヤンゴンで2021年2月、国軍に対する抗議デモをする人たち

 ミャンマーにいるとき、欧米の外交団からこんなことを言われました。「このままだと、万が一国軍が倒れるようなことがあれば、ミャンマーがバラバラになってカオスになってしまう。そうなる前に、国軍と民主派の国民統一政府(NUG)や少数民族が話し合えるような働きかけが必要だ。それができるのは日本だろう」

 これはミャンマーの人たちが一番受け入れられないことです。市民にとっては今の軍があるからカオスだという強い感情があります。軍と話し合いの場を持つのは、軍の存在を認めることだからあり得ない。「軍がなくなったカオス」の方がまだましだと思っています。

2024年9月まで駐ミャンマー大使を務めた丸山市郎さんが、通算27年におよぶミャンマー駐在で見てきた出来事を振り返ります

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 各国外交団はよく「ミンアウンフライン(国軍最高司令官)の考え方がわからない」と言い、側近で誰と会うのがいいのか、彼が一番親しい僧侶に会いたいなどと言うのですが。それは彼らがミャンマー語がわからないからなのです。

ビルマ語で書かれたミャンマーの教科書

国営メディアから読み取る国軍最高司令官の心情

 ミンアウンフライン氏はどん…

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