国立大学が法人化されて、この春で20年。この間の政策や環境変化は、大学にどのような影響を与えたのか――。朝日新聞社は1~2月、学長と教職員に対し、この年を振り返るアンケートを実施した。自由記述欄も含めた35問に、学長は全86大学の92%に当たる79人が回答。教職員は全国大学高専教職員組合の協力を得て実施し、407人から回答を得た。それぞれの回答を元に、国立大の置かれた現状を考える。
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「仕事場としての国立大学の魅力が、大きく毀損(きそん)された。自由度が下がり、予算は削減され、能力・意欲のある者が国立大学での仕事を選ばなくなった」
工学系の准教授は、アンケートにそんなコメントを寄せた。
アンケートでは、学長と教職員に「教職員の意欲」について質問した。教職員は大半が低下傾向にあると回答。一方、学長は4割弱が低下傾向と考えていたが、「高まる傾向」「変わらない」もそれぞれ3割程度いた。
教職員のコメントを見ると、「意欲低下」の背景に運営費交付金の減額を挙げるケースが目立った。
運営費交付金は人件費や光熱…