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 反体制的な言動を取り締まる香港国家安全維持法(国安法)の施行後、香港では多くの民主派が摘発され、政府に批判的な論調だったメディアも解散に追い込まれました。30日で施行から5年。現在の香港はどうなっているのか。香港問題に詳しい、立教大学の倉田徹教授に聞きました。

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香港国家安全維持法(国安法)が2020年6月30日に施行されて5年。香港政府は自由を求めて声を上げた人々を追い詰め続けています。いまもその軛(くびき)から逃れられられない市民の姿を追いました。

 ――今年3月、およそ5年ぶりに香港を訪れたそうですね。どのような変化を感じましたか?

 国安法が施行されたのだな、ということを感じさせるものをたくさん目にしました。国家安全の重要性を強調する様々なスローガンを街頭で見かけましたし、テレビでは国家安全に関する小学生向けクイズ番組を放映していました。

 露骨だったのは歴史博物館です。香港の歴史を紹介する常設展示がなくなり、2019年の抗議活動が「いかにひどいものだったか」を伝える、共産党政権のプロパガンダのような内容に変わっていました。

写真・図版
立てこもりを続ける若者を警察が包囲していた香港理工大前で撮影に応じる倉田徹・立教大教授=2019年11月25日、香港、益満雄一郎撮影

 ――国安法施行から5年が経ちましたが、取り締まりは弱まってはいないのでしょうか?

 取り締まりのレッドラインが緩む方向には動いていません。この5年間を見ていてわかったのは、中国は(香港の)民主派を根絶させようとしていることです。

香港政府が警戒する「抵抗」とは

 ――どうしてそう思うのでしょうか?

 国安法施行後の2年間ほどで…

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