地元に多大な経済効果をもたらす半導体産業。多くの自治体が懸命に誘致を進める一方、実際に工場などが稼働すると膨大な電力や水が必要となり、確保に頭を悩ませる自治体も多い。送電網を新たに整備したり、浄水場を新設したり。供給が限界に近づいている自治体もある。
次世代半導体メーカー「ラピダス」(東京)が進出した北海道千歳市。工場が本格稼働すれば、工場本体はもとより、周りに集まる関連企業も多くの電気を使うと見込まれ、既存の送電網では必要な量を送れない可能性もある。
大規模変電所を新設
このため北海道電力グループは、ラピダス近くに「南千歳変電所」(千歳市美々(びび))を新設。苫東(とまとう)工業団地にある「南早来(はやきた)変電所」(安平(あびら)町)から、こちらも新設する13.4キロの地下送電線で電気を送る。南千歳変電所で処理できる電力量は一般家庭30万世帯の年間使用量にあたる90万キロワット。北電にとっても指折りの規模で、稼働はラピダスの量産開始前後の2027年10月の予定だ。
再生可能エネルギーを増やす動きもある。北電には、三菱商事などと組み、千歳周辺に水素の生産・供給網をつくる構想もある。
記事後半では、キオクシアの工場を誘致した岩手県での工業用水確保の取り組みを紹介します。
水素は地球上にふんだんにあ…