待ち望んだ「許可」が出た時を、阿部詩(24)=パーク24=はよく覚えている。夕食前の台所、父・浩二さんから言われた。

 「柔道をはじめたら、途中でやめたりできないよ。覚悟をもってやるんやで」

 幼少から長兄・勇一朗さん、次兄・一二三(ひふみ、26)=パーク24=が通う道場に同行していた。彼らが熱中する柔道、その輪の中に入りたいと願った。

柔道場で笑顔をみせる阿部詩(下)と一二三(上)、勇一朗さん(右)の3兄妹=詩提供

 母・愛さんは言う。

 「私たちは反対したんです。ケガをするかもしれないし、危ないし」

 何度も説得したが、詩は折れない。結局、5歳になったとき、両親の方が折れたのだった。

一度だけ、父親が怒り狂ったこと

 最初は勝ったり、負けたり。楽しそうに柔道をしていたが、浩二さんは「一度だけ、怒り狂ったことがある」。

 小学5年の時の団体戦。格上…

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