【連載】北朝鮮の表と裏
北朝鮮は最近、ロシアとの協力を誇示し、海沿いのリゾート施設で楽しむ市民の姿を公開しました。一方で、各国の調査や脱北者の証言を積み重ねると、北朝鮮が長く自称する「地上の楽園」の表と裏が浮かび上がります。最新情勢を5回の連載で伝えます。
朝鮮中央通信によれば、北朝鮮の金与正(キムヨジョン)党副部長は7月28日付の談話で米朝関係に言及した。与正氏は「我が国家の不可逆的な核保有国の地位」という表現を使った。同時に「朝鮮の国家首班と現米国大統領との個人的関係が悪くないという事実を否定しない」とし、非核化交渉でなければ、対話に応じる考えを示した。
「トランプ(米大統領)はウクライナや中東の結果にかかわらず、北朝鮮に目を向けるだろう」。長く、北朝鮮問題を担当した元米政府高官は、いずれ米朝首脳会談が開かれるとの見通しを示したうえで、こう語った。「トランプは北朝鮮の核を黙認するかもしれない」
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豊富な訪朝経験を持つこの元高官は、北朝鮮外交の厚い壁を感じてきた。米朝協議や北朝鮮の核問題を扱った6者協議では、北朝鮮当局者は「不当な米国の朝鮮敵視政策」に対する批判を必ず口にした。米政府関係者らは「北朝鮮の外交官は我々ではなく、平壌に向かって話している」とうわさし合った。代表団には監視役の国家保衛省(秘密警察)関係者が必ず含まれていた。当時、通訳を務めていた崔善姫(チェソンヒ)氏(現・外相)が、首席代表だった金桂寛(キムゲグァン)第1外務次官の発言を正反対に訳したこともあったという。
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元高官は「米国の北朝鮮政策…