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早期教育へのギモン

 近年、教育経済学の分野では、親の「時間投資」に関する研究が進んでいるといいます。幼少期に、親が子どもに対してどのように時間を使ったか、またその子どもがどうなったかを調べるものです。一方で、そこには親の学歴や収入による格差の存在も。慶応大学教授の中室牧子さんに聞きました。

 ――時間投資とは、どのような考え方なのでしょうか。

 塾や習い事にいくらお金を出したか、というのは金銭的投資です。時間投資は、親が自分の時間を子どもに対してどう使ったか、ということです。近年、親の時間投資が子どもの認知能力や非認知能力に関わるということを示す研究がいくつか出てきています。

 ――例えばどのような研究ですか。

 イギリスの子どもを対象に行われた大規模な追跡研究が有名です。

 母親が子どもに対してかけた時間が、3歳・5歳・7歳時点でその子の認知能力(IQなどの学力)と非認知能力(忍耐力や社会性といった社会的スキル)にどう影響したかを調べたところ、両方を高める効果があったことが示されました。

 また、この研究では、「勉強」に投資する時間(本の読み聞かせや宿題の手伝いなど)と「体験」に投資する時間(お絵かきや屋外での運動など)に分けて分析しているのですが、「勉強」ほどではなくても「体験」の効果も認知能力の向上に寄与していました。

時間投資の効果、何歳くらいまで?

 ――何を意味するのでしょうか。

 勉強を見てあげれば学力が高…

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