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警戒区域の「盲点」

 2021、22年に全国で起きた1700件超の土砂災害を分析すると、リスクを知らせる警戒区域の外にまで土砂が及んだのは3割を超えました。なぜ想定と違うのか。現場を取材し、全5回の連載でお伝えします。

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 「不安でしたけど、家に残ったんですよ。あの雨の中を避難所まで行くのは無理だと思って」

 2018年の西日本豪雨による土石流で、自宅の庭先にまで土砂が迫った70代の女性が当時を振り返る。

 10棟が全壊し、女性1人が犠牲になるなど甚大な被害が出た広島市安佐北区口田南3丁目。女性宅は土砂災害警戒区域の外にあり、土石流の危険が想定されていた小田川からも150メートルほど離れていた。

 前日夕に、川から水があふれているのに恐怖を感じたものの、一番近い避難所の口田小学校は約1キロ先。雨の中、冠水した道を1人で向かうよりかはと、自宅2階にとどまった。

 自治体などから避難を呼びかける情報が出ても、雨脚の強さなどから避難先に向かえなくなるケースは少なくない。

 早めの避難を促して逃げ遅れ…

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