兵庫県の50代女性は、現在20代の長女が言葉を覚え始める頃から、毎晩欠かさず絵本の読み聞かせをした。
幼稚園の頃は幼児教室、小学校3年生からはプリント学習の塾に通わせた。
その後、中学受験に向けて有名進学塾に入れた。小学校高学年になると、ほぼ毎日、塾と自宅の間を3往復した。長女を塾に送っていったん帰宅し、弁当を作って届け、さらに迎えにも行った。弁当は栄養バランスに気を配り、手は一切抜かなかった。
進学先を検討するため、中学が開く説明会にもできる限り出席した。塾が作る偏差値表の上位にある中学は全て訪問した。受験情報などが聞ける塾の講演会などはもれなく参加した。
中学受験で偏差値の高い学校に合格させたい。その一心だった。
必死だった分、長女には厳しく当たった。
模試の成績が下がると「なんで下がったの」「ちゃんと勉強してるの」などと詰問した。長女は「ごめんなさい」と言い、涙を流した。ミスをしたことが頭にきて、手を上げることもあった。
ゲームはさせず、漫画も読ませなかった。友達と遊ばせることはほとんどなく、折り紙などもさせたことがなかった。
周囲には、同様に受験一辺倒の家庭ばかり。自分の長女への接し方がおかしいとは思わなかった。一方で、重圧からか、模試の成績をごまかして親に伝えた子の話も聞いた。
長女は受験を嫌がるそぶりは見せなかった。関西でトップレベルの私立中高一貫校に合格し、進学した。
中学受験で志望校に合格した長女は、その後も熱心に勉強しました。大学受験期、ある出来事をきっかけに親子関係は激変します。
- 連載「中学受験 潜むリスク」はこちらから
- 連載「中学受験とお金」はこちらから
妊娠と同時に退職 「子どもに全てを注ぐ」
女性が中学受験にこだわった…