子どもの頃に受けた虐待の記憶について話す女性=2024年6月20日、東京都、山本悠理撮影
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 クリスマスにローストビーフを親子で焼いたこと。誕生日にはみんなそろって、ごちそうやケーキでお祝いをしたこと……。

 楽しかった家族の思い出は、たしかにある。けれど、そんな子どもの頃の記憶を呼び起こすたび、東京都の30代女性は、かつて母親に負わされた心の傷がうずくのを感じる。

 女性が5歳の時に母親は離婚し、女性と三つ下の妹を、ひとりで育てるようになった。

 教員の母親は教育熱心だった。前夫からの養育費は全て姉妹の習い事や学費につぎ込み、幼い頃からピアノやバレエ、英会話などに通わされた。ピアノの練習をさぼって怒鳴られ、夜通し練習させられたこともあった。

 「こんなに頑張ってあんたたちを育ててるのに」

 「わがままな親不孝者」

 手伝いを忘れたり、言うことをきかなかったりすると、母親はカッとなって、そんな言葉を姉妹に浴びせた。

 母親がどこで怒り出すのかは、まるで予測できなかった。

母の日のプレゼント 返ってきた怒号

 機嫌が悪い時には平手やタオ…

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