性セラピストの川瀬まりさん=本人提供

A-stories セックスレス夫婦 ずっとこのまま?⑥

 日本では夫婦の2組に1組がセックスレス状態にあるという。セックスレスに悩んでいるのに解消の糸口が見えない場合、どうすればいいのか。ベルギーの大学で性科学を学び、現地で「性セラピスト」として相談に乗る臨床心理士の川瀬まりさんに、当事者への取材を通じて投げかけられた悩みをぶつけた。

 ――日本では性セラピストという肩書はあまりなじみがありません。

 よく言われるように、欧米ではカップルが生活の基本単位なので、その関係を維持するためにも性のテーマは不可欠なものと考えられています。

 日本には性のテーマに真摯(しんし)に取り組んでいる日本性科学会のような団体もありますが、一般的には娯楽やエロとして捉えられることが多いようです。こちらでは性が学問の一つとして確立しています。

 私も大学で性医学からセクシュアリティー、コミュニケーションの問題まで幅広く学びました。ベルギーでは性セラピストを国家資格にしようという動きも進んでいます。

 ――日本の当事者に取材すると、「どうすればいいのかわからない」と言われます。

 私のクライアントは日本人とベルギー人が半々ぐらいなのですが、日本人はマイナスの感情を表に出さないことが多いと感じます。

 カウンセリングでは、まずはセックスレス解消に向けて障害になるものがないのかを探り、それを取り除くところから始めます。

 たとえば「怒り」や「話すことへの抵抗」が障害なのだとしたら、それをなくすためにはどうすればいいか考える。

 また、自分の気持ちと向き合っていない方も多いです。何が望みなのか、本人さえわかっていない方は、そこから探ります。

パートナーから無視されたら

 ――困り事の背景は人それぞれですね。

 悩んでいる人みんなに効く魔…

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