十文字中学・高校では、日本原水爆被害者団体協議会の代表委員、田中熙巳さんの講演後、正義などについて考える授業を行った=2025年7月4日、東京都豊島区北大塚1丁目、本間ほのみ撮影

 「正義って何だろう」

 7月4日、十文字中学・高校(東京都豊島区)の道徳の授業で、担任の熊谷朋香教諭(34)がこう投げかけた。

 「あなたの正義と私の正義ってイコールじゃなさそうだよね。正義と正義がぶつかり合うとどうなるか、話し合ってみて」

 生徒たちは「戦争になる」「戦争って何の正義がぶつかるの?」などと議論した。

 平和教育に力を入れてきた同校では、高2の修学旅行先は沖縄で、地元の戦争体験者の話を聞くなどの活動をしてきた。

  • 空襲で亡くなった文子先輩「忘れない」 同じ19歳が本で広げる学び
  • 体験者任せの平和教育、「犠牲ありき」を超え 対話を繰り返す学びへ

被団協の講演も

 この日の「正義」について考える授業の前日には、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会の代表委員、田中熙巳さん(93)を学校に招き、中学生ら約900人が講演に耳を傾けた。田中さんが併設する大学の名誉教授を務めている縁で実現した。

 田中さんは13歳の時、長崎…

共有
Exit mobile version