「正義って何だろう」
7月4日、十文字中学・高校(東京都豊島区)の道徳の授業で、担任の熊谷朋香教諭(34)がこう投げかけた。
「あなたの正義と私の正義ってイコールじゃなさそうだよね。正義と正義がぶつかり合うとどうなるか、話し合ってみて」
生徒たちは「戦争になる」「戦争って何の正義がぶつかるの?」などと議論した。
平和教育に力を入れてきた同校では、高2の修学旅行先は沖縄で、地元の戦争体験者の話を聞くなどの活動をしてきた。
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被団協の講演も
この日の「正義」について考える授業の前日には、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会の代表委員、田中熙巳さん(93)を学校に招き、中学生ら約900人が講演に耳を傾けた。田中さんが併設する大学の名誉教授を務めている縁で実現した。
田中さんは13歳の時、長崎…