取材に応じるベドウィンのワリード・ファティールさん=2024年9月6日午後、イスラエル南部ラハト、軽部理人撮影

医師のワリード・ファティールさん(27)

 私はアラブ系のベドウィン(遊牧民)でイスラエル人です。ユダヤ系が大多数のイスラエルで、アラブ系が生きる難しさは語り尽くせません。

 特にベドウィンは、イスラエル政府と土地の所有を巡って激しく争っています。しかし今年に入り、ベドウィンが強制的に立ち退きを強いられ、住居が壊されるケースが増えました。昨年10月のイスラム組織ハマスによる攻撃以降、アラブ系住民を「2級市民」と見なす差別的な潜在意識が、一部で顕在化しているように思います。

【連載】イスラエル・パレスチナ 市民の声 ガザ戦闘1年

 イスラム組織ハマスの奇襲と、イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザへの攻撃開始から1年。イスラエル、パレスチナの市民はどんな体験をし、いま何を思うのでしょうか。様々な立場の人びとに語ってもらいました。

  • 【パレスチナ側の声】おもちゃ修理の作業場なのに イスラエル軍「武器を作っているのか」

 実家があるイスラエル南部ラハトでは、警察による過度な職務質問が増えました。私も「お前らはテロリストだ」とすごまれたことがあります。

 ハマスの攻撃は確かにテロ行…

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