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第79回全国高校野球選手権大会を制し、主将として深紅の大優勝旗を手にした智弁和歌山の中谷仁さん=1997年8月21日
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 高校野球で、逆転を呼ぶ応援曲として知られる「ジョックロック」。そんな「魔曲」を持つ智弁和歌山の吹奏楽部が6月16日にある応援演奏の祭典「甲子園ブラスバンドフェスティバル」(朝日新聞など主催)に出場する。

 その応援を背に、主将だった「夏の甲子園」で優勝し、監督としても全国制覇を遂げた中谷仁さん(45)に「応援の力」を語ってもらった。

アルプスの夏音

高校野球の応援の演奏をめぐる物語

 ――高校時代、印象に残った応援はありますか

 実は高校生の時はプレーに必死で、応援はあまり耳に入っていませんでした。でも、忘れられない打席があります。僕にとって「初めての甲子園」だった2年生の春の選抜大会での打席です。

 準決勝、対戦相手は高陽東(広島)。0―2で迎えた八回裏、2死からの3連打でつくった満塁のチャンスで打席に入りました。

 1球1球、球審が判定するたびに地鳴りのような歓声が沸き上がりました。アルプススタンド全体が応援してくれているような雰囲気でした。自身の2点適時打を含め、4点を挙げて逆転勝ち。応援に、試合の流れを変える大きな波のような力があると実感しました。

 打席で集中していて無音に感じる時でも、安打を打ったあとのファンファーレやスタンドの歓声は、今も耳に残っています。いいプレーをすると応援団が一緒になって喜んでくれる一体感が、気持ちいいと感じました。

「優勝の夏」になかったこと

 ――指導者になってからの感じ方は

 応援のありがたみを身をもって知ったのは、指導者になってからです。

 スタンドから全力で応援して…

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