神田警察通りの街路樹の下で座り込みを続ける住民=2024年7月、東京都千代田区、矢田文撮影

 神宮外苑の再開発計画などで揺れている首都の緑。東京都は100年先を見据えた緑をつくるプロジェクト「東京グリーンビズ」を始動するが、実際には23区の緑はここ数年で減少しているという研究結果もある。日比谷公園など、都内の各所で樹木の伐採が目立ち、保全をめぐる住民と自治体の衝突も少なくない。都市緑化行政のあり方が問われている。

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 「イチョウを伐(き)らないで!」。

 東京都千代田区の区道「神田警察通り」の沿道では、プラカードを掲げた住民らによる街路樹の見守り活動が毎晩深夜まで続いている。

 東京駅から北に約1キロの神田地区の東西をつなぐ同通りには、左右の沿道に約150本の大きなイチョウの木が立ち並ぶ。区はこの約1.4キロメートルの区道の整備を進める。このうち2期工事の対象になっている約230メートルについて歩道拡張のため、32本のイチョウのうち30本を伐採、2本を移植し、イチョウの代わりに39本のヨウコウザクラを植える計画を掲げる。

 ただ、この計画に対して一部の住民からは反対の声があがる。

 反対住民らを交えた意見交換の場などを設けてきた区は「(話し合いが平行線で)一致点を見いだすことができない」「双方が歩み寄るかたちで工事を行うことは難しい」などとしてイチョウの伐採を継続。すでに数本が伐採された。

 街路樹の伐採に反対する「神田警察通りの街路樹を守る会」らは、「十分な議論ができたとはいえない。合意形成が不十分」と訴える。区内在住の大島裕子さん(68)も「住民不在のやり方で違和感がある。ここを残せるか残せないかは、今後のまちづくりのあり方にも大きく影響する」と話す。

 守る会代表で、区内在住の滝…

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