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面談のため自転車で退所者宅に向かう更生保護施設「愛正会」の半野田孝郎さん=2024年5月20日、大阪市淀川区、遠藤真梨撮影
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 「近ごろ仕事を休みがちで、無断欠勤もあります」「酒量がだいぶ増えてますね」

 大阪市淀川区の更生保護施設「愛正会」職員の半野田(はんのだ)孝郎さん(73)には、こんな情報を寄せてくれる複数の「相棒」がいる。その1人が、塚本亜湖(あこ)さん(49)だ。

 同じ区にある就労継続支援事業所「Be Happy メイト」の施設長を務める。青果卸売会社から野菜の袋詰めを受注し、働き手の障害者が分担しながら袋詰めや計量を手早く進めていく。登録している障害者48人の中には、愛正会の入所者と退所者計10人もいる。

 半野田さんは頻繁に顔を出し、塚本さんと情報交換しながら、無断欠勤やお金の貸し借りを巡るもめごと、同僚とのけんかなど、問題の芽をいち早く見つけることに心を砕いている。トラブルは防ぎきれないが、少しでも減らすことができれば、と考えてのことだ。

 特に注意を払うのは、愛正会を出た直後の時期だ。入所中は職員が、門限や飲酒、ギャンブル、金遣いについて目を配っている。ところが退所すると、一気に緩んで休みがちになったり無断欠勤が増えたりする。

 「あの2人には依存症があるので目配りが必要ですね」。昨秋、半野田さんは塚本さんに連携の強化をもちかけた。「2人」とは、作業所で働き始めて2週間の30代男性と、作業所で働く予定の50代の男性のことだった。「注意深く行動を見ていきましょうね」。そう打ち合わせた矢先だった。

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