迫る 万博開幕まで1カ月

 万博では最先端の科学技術の展示が見どころの一つ。1970年の大阪万博では動く歩道やリニアモーターカーなどが人々を魅了した。今回の大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く 未来社会のデザイン」のもと、未来の暮らしはどのように描かれるのか。

 万博では、「いのち」を起点にしたテーマを掲げる八つのシグネチャーパビリオンが会場の中心に配される。

 テーマの礎は、2016年に大阪府が提案した「人類の健康・長寿への挑戦」。もともと関西には製薬など医療関係の企業や研究機関が多く、強みのあるライフサイエンス分野の成長を促す狙いがあり、誘致の過程で「未来社会のデザイン」に広がった。高齢化が進む日本を「世界における未来社会の実験場」と位置づけている。

大阪・関西万博が4月13日に開幕します。政府や大阪府市は「未来社会の実験場」と位置づけています。万博をなぜいま開くのか。課題解決の場になるのか。レガシーを残せるのか。開幕まで1カ月、課題を整理する連載です。

 大阪府・市などによる大阪ヘルスケアパビリオンや人材派遣業パソナが手がけるパビリオンの展示の核は、体のあらゆる細胞や組織になることができるiPS細胞から心臓の筋肉をつくった「心筋シート」やミニ心臓だ。実際に拍動する様子が見られるという。開発者の澤芳樹・大阪大名誉教授は「命の大切さ、命の息吹を感じてもらえるんじゃないか」と話す。

iPS細胞からつくられた心筋シート=(公社)大阪パビリオン提供

 人の組織や臓器そのものを再…

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