超円安時代
歴史的な円安ドル高が続いている。家計の負担は膨らむ一方、輸出企業には過去最高益をもたらした。34年ぶりの円安水準は、私たちにとって、企業にとって、日本にとって、「恵み」か「災い」か。その功罪を解き明かす。
米ホノルルに住むクリスティーナ・カオさん(39)は昨年3月、友人に誘われて日本を旅行することにした。職場の同僚たちは「今はドルが強いよ」と後押しした。
当時は1ドル=133円前後で、その1年前より15円も円安になっていた。初めて訪れた日本は何もかもが安い。東京・池袋のホテルは1泊50ドル。「同じレベルのホテルに米国で泊まれば200~300ドルはかかるのに」
おいしい食事、行き届いたサービス、魅力的な文化。日本がすっかり気に入り、この1年半で5回訪日した。その間に円相場はさらに20円超安くなった。屋上に温泉がある九州のホテルは80ドルで、「米国ではモーテルにも泊まれない」。
今月、また東京を訪れた。為…