夫や妻に自分のイライラをぶつけてしまうと悩む人は少なくない。家庭裁判所の調査官を経て、2年前から「横浜ファミリーカウンセリングオフィス」で夫婦カウンセリングにあたる臨床心理士の松本尚子さんは、「火種が小さいうちに相談することが大事」と指摘する。夫婦間の不機嫌ハラスメント(フキハラ)を防ぐ方法について聞いた。
- 「はぁ?」と妻を小馬鹿にするフキハラ夫 30年仕えた代償と気づき
――月にどれぐらい夫婦の相談を受けていますか。
平均すると40~50件ですが、多いときは100件ぐらいにのぼることもあります。夫婦のことを相談する場所が少なく、「そもそも相談するものなのか」と迷われている方が多いことを実感します。
――男性と女性、どちら側からの相談が多いのでしょう。
夫婦一緒に申し込まれる方が3~4割で、あとは女性が若干多いかなという印象です。一般的に男性の方が悩みを相談するハードルは高いと感じますが「友人には相談しにくい。むしろ第三者の方が相談しやすい」と来られる方もいらっしゃいます。
――いわゆる「フキハラ」に悩んでいる事例も珍しくないとか。
ずっと無視されている、部屋に閉じこもって話をしないといった相談や、不機嫌を言葉にせず、態度や表情で表されるとか、話しかけてもつっけんどんでつらい、などという相談は少なくありません。
いくつかのパターンがあると思います。一つは、自分の不機嫌を抱え込み、黙り込んでコミュニケーションをシャットアウトしてしまうパターンです。
もう一つは、自分が何に不機嫌になっているのか、うまく整理できずに心の中がゴチャゴチャになってしまい、そのモヤモヤを当たり散らすパターンです。
比較的、前者は男性に、後者は女性に多いパターンですが、それほど性差がはっきりしているわけではありません。
何が一番不満? 不機嫌を解消するには
――取材をしていても、自分…