参院選の公示前。消費減税の議論が盛り上がり始めたころ、ある財務省幹部がつぶやいた。
「パンドラの箱が開いてしまった」
日本は1989年に消費税を導入して以降、税率を上げても、下げたことはない。一度も経験したことのない消費減税という「箱」を開けたとき、なにが起こるのか。
野党各党が参院選の公約で消費減税や廃止を訴えているのは、物価高で苦しい家計を支援する目的がある。減税したら、その分だけモノやサービスの価格が下がりそうなものだが、実際にそうなるとは限らない。
消費税(付加価値税)発祥の地・欧州では、税率が変更された事例がいくつかある。価格にはどんな変化をもたらしたのか。米国の経済学者らが1996~2015年の事例を分析している。
減税したら価格は下がるのか
研究によると、増税した場合…