A-stories「タブーなき買収」インタビュー 神田秀樹・東大名誉教授

 かつては「敵対的買収」と呼ばれた「同意なき買収」が増えている。経済産業省の研究会が昨年8月にまとめた「企業買収における行動指針」で、企業価値の向上につながる買収提案には「真摯(しんし)な検討」を促しているためだ。指針をつくった背景について、研究会座長だった神田秀樹・東大名誉教授にたずねた。

 ――指針の狙いは。

 「買収提案を受けたとき、会社は何をすればいいのか、または何をしてはいけないのか。その行動規範をできるだけ丁寧に示したかったのです」

 ――「同意なき」とした理由は何でしょう。

 「事前に経営者に相談がないものをこれまで敵対的買収と呼んできましたが、株式を買い集めて過半数をとれば、経営者の同意は必要ないのです。企業価値が高まるのならば、そのやり方が友好的か敵対的かによって区別するべきではありません。『同意なき――』は企業買収の際に欧米で使われる英語の『アンソリシテッド・オファー』からとりました。『招かれざる買収提案』『一方的な買収提案』という意味です」

米国には「価格がすべて」というレブロン基準

 ――同意なき買収に踏み切る…

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