たちはら・しげる 東海大名誉教授。同大大学院経済学研究科博士課程を満期退学後、政治経済学部や観光学部の教授を歴任。国内外の郵政事業のほか、観光や外食産業に詳しく、日本フードサービス学会の会長も務める。共著に「欧州郵政事業論」「規制改革の未来」など。

 郵便局の数は多すぎる――。そう唱えるのは、長く郵政事業を研究対象にしてきた立原繁・東海大名誉教授(66)だ。自民党が推進する郵政民営化法の見直しには問題があるとし、郵便と郵便局の経営の持続性を高める取り組みを急ぐべきだと指摘する。

 ――自民党が取りまとめた郵政民営化法などの改正案をどう評価しますか。

 「一部の既得権益を守るための法改正がされようとしている。民営化の精神と逆行するもので、このまま実現すれば郵政事業はさらに衰退していく」

 ――とくに問題だと思うことは何ですか。

 「開かれた場で議論されず、年650億円もの公的支援を引き出す策略が密室で話し合われてきたことだ。しかも、公的資金は手紙を集配する郵便サービスではなく、郵便局の窓口の数を維持するために使われる。これを許したら、国民の負担は際限なく膨らんでいく」

局数の維持を経営改善より優先

 ――だれの既得権益が守られようとしているのでしょうか。

 「それは言うまでもなく(郵…

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